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※ 五十音順

あたかも『首都消失』の雲の内側で、二十年経ってしまったような設定。手作業で作られた異形の空。懐かしいSF心を刺激される物語の本質はしかしタルコフスキー『ストーカー』であり、静謐と痛みに満ちている。傷つけられたフィルムという空に包まれた世界は、そのまま日本映画界を描いているように見え…気付いた時には自分もまたゾンの中にいる。

會川昇〔脚本家〕

最初の感想は、私の好きなものしか映っていない、でした。すごく不思議でした。だからすごく幸せで、こぼしたくなくて、だれとも話さずにだれとも目も合わさずに帰りました。ゾン、見てほしい。

碧水つや〔俳優/臨床心理士〕

#青夏 の古澤健監督と、 #菊とギロチン にも出演している鈴木卓爾監督がタッグを組んだ #ゾンからのメッセージ (シネマ対談掲載)。
この映画は映画の進化と愛に満ちた青春映画。だから映画好きなら見て欲しい。私は2度も見てしまったのだった。

伊藤さとり〔映画パーソナリティ〕

『ゾン からのメッセージ』は、映画館ごと楽しむ「体験」ができる映画で、10代の頃何か不思議体験したくて『20世紀少年読本』とか観に行ってたワクワク感思い出しました。「映画作り映画」でもあるね。私、映画作り映画に弱いんですよね。

大九明子〔映画監督〕

噂の映画『ゾンからのメッセージ』を試写で拝見。謎の領域「ゾン」に囲まれた町のお話。ゾンとは一体なんなのか!!でなく、ゾンあるわぁ、とりあえずゾンへ行くなよ、て感じ。アッチとコッチは所詮、トタン板で仕切られてるくらいなもん。それがとても気持ち良くて。けど明確にゾンはある。

大畑創〔映画監督〕

鈴木卓爾監督、古澤健プロデュースの『ゾンからのメッセージ』拝見。ゾンビ映画かと思ったら違った!と試写室に着くなり衝撃を受けたものの、その傷心を補って余りある面白さでした。
映画と演劇のクロスオーバーかつ幾重ものたくらみに満ちていて、寺山修司を彷彿とさせる外連味も痛快。試写では出演者さんがスタッフをされていたのですが、それもすごく効いていて。スタッフ、キャスト、みなさんが時間を掛けて大事に作ったのが伝わってくる素敵な作品でしたよ。8月11日からポレポレ東中野で。

小澤英実〔翻訳/文筆家〕

不条理な事がこの世界にはあって(時間だってそうだ。光速が不変なんて本当はウソだろ)、それでも過去を増やし続けながら人は生きる。時に句読点を打ちながら、時の先に焦がれながら。撮影という行為に出来るのは過去を焼き付ける事だけだ。それを積み重ね試行錯誤しながら、未来へと手を伸ばす。祈り。多分物を作る事は全てそうだ。農家だって。蒲鉾屋さんだって。というかそれが生きるという事だ。どうか沢山の人達に届いて欲しいと願う。一筋縄では無いので賛否は分かれると思うけど、柔軟な姿勢で観て頂きたい。

それから、もう一つ特筆しておきたいのは音響の川口陽一さんの仕事。素晴らしい。創造的で優しくて激しい。畑違いだけど凄くくやしい。8/11からポレポレ東中野で。どうか是非。

小田篤〔牛乳配達員/俳優〕

観終わって、私もその覆われた街の中にいたことに気づきました。帰路、はじめてフィルムが生き物に見えてときめいた日のことを思い出して、平たいスクリーンの上で立体的に蠢めく生命力が私をその街の中に引き込んだのかもしれないな、と。

菊地敦子〔俳優〕

SF映画を成立させる過程をまるごと映し出し、そこからはみ出るものまで受け止める寛容さ。何気ない風景の意味が劇的に変わってゆくことのダイナミズム。ラスト近くの映像は、否応なしに「惑星ソラリス」を連想し、感涙。卓爾監督のマジックに酔う。卓爾監督の「ジョギング渡り鳥」に号泣したくせに、観終えた直後は、SF映画というジャンル、演技のトーンなどに気を取られていた。そんなしがらみ(柵)を打ち破る寛容さが、あの電車と海、ある人を待つ女性に流れる四季に溢れていた。ふと気付くと「花の街」を口ずさんでいる

久志田喜八郎〔会社員・月刊ウインド編集部・安吾の会事務局長〕

ゾンからのメッセージ、試写観てきました。色々盛り沢山だけど、とにかく全員で参加してる良さが滲み出てた。ゾンは人によって色々意味が変わると思うけど、一歩を踏み出す難しさとあっけなさ、その後に続く別の同じ日常。まあ、この文字数では書ききれない。とにかく観て、俳優の顔を。

近藤強〔俳優〕

ゾンの中にも四季があって暮らしがある。その中に居ることに始終苛立っている晶ちゃんも、ぼんやりした一歩も…どこでもないどこかへ行きたい気持ちと折り合いをつけている。けど、それってゾンの外にいる自分達と何が違うのだろうか。どこかへ行くのなら、映画と現実が地続きなように、むしろあの中へ、美しい空のゾンの中へ、甘美な響きのゾンの音を聞きに行きたい。

現実から地続きの映画の中へと帰っていくような時間。夕暮れにそまった空に、ひこうき雲が重なって境界を作っている現実を見ながら燃えるようなゾンの空を思いだしてしまいました。

佐野真規〔映画美学校アクターズコース1期アシスタント〕

古澤健(脚本・制作)鈴木卓爾(監督)『ゾンからのメッセージ』、凄い分かりみあった。思えば俺も『リトル・ウィング』から『富士消失』まで眼が現実を虚構と馴染ませ軋ませる世界を、いかに終わらせ、残すかあがき続けてるんだ。鈴木監督の方が遥かに匠だが。じゃ俺はどうする? もっと通俗で行く?

島田元 〔脚本家・映画監督〕

ゾンについて考えてたら予備校以来の懸案「イプシロン-デルタ論法」について分かった気がした。

シンイチロー〔会社員〕

映画が映画である境界線…内側と外側って、それは私が勝手にあると信じていたものに違いなく、しかしついさっきまでそこにあったゾンと一緒に破壊されてしまったかもしれない。ゾンに囲まれた世界は狭いはずなのになんでこんなに広くて深いんだ。さらに『ゾンからのメッセージ』の世界のすぐ近くには『駄洒落が目に沁みる』の小屋があるかもしれず、海辺には『making of LOVE』の宇宙船がいつ登場してもおかしくなくて、ゾンが現れる前には『ジョギング渡り鳥』のモコモコ星人が宇宙から来ていたかもしれない、なんて妄想してみたり。層が厚い。

鈴木里実〔会社員/IndieTokyo所属〕

映画「ゾンからのメッセージ」面白かった!撮影は10日で終わったが合成・編集に4年かかったそう。手作り感素敵。たった20年で人間の環境は様変わり。経験や記憶の差が世界を分断する。危険を顧みない好奇心も描きつつ、消えゆくもの・ことを愛でて触れて記録した未来への伝言。

高野しのぶ〔現代演劇ウォッチャー/しのぶの演劇レビュー主宰

何もかもが虚構の世界の中でゾンだけが確かに存在していた。最も信じられないものが唯一信じられるという世界観がすごくいい映画だなと思って見ていた。でもラストあたりでゾンに裏切られた。サンタクロースはいないと言われてしまったときのようなショックを受けた。

田口敬太〔映画監督〕

ゾンからのメッセージ、ユーチューブの1000倍ヤバい!あんなものあるのかってマジかって今夜初めて観る人が(23時頃)東中野でスーパーぶち上がるのうらやましいぜ

田中淳一郎〔のっぽのグーニー〕

「ジョギング渡り鳥」にもあった越えたいという感覚がタルコフスキー「ストーカー」の“ゾーン”のような“ゾン”というSF的バリア設定と映像効果によって、閉塞と突破のかたちにまで編成されている。個性的なこの映画の良さを伝える為には、私もあの登場人物たちのように覚悟を決めるか、思いきるかして未知の受け取り手への投瓶の手紙や、ぶん投げられるVHSテープの如く「ゾンからのメッセージ」についての言葉、表面張力を破る不可逆な言葉を書かねばならないだろう。

千浦僚〔映画文筆〕

「ゾン」と呼ばれる現象のために外部から遮断された一地域に交錯する、人々の感情と認知。私たちには、カメラの仕組みがわからない。いや、実に何もわかっていない。不知、不可知、無知をめぐる、いま観るべき映像詩。

寺井龍哉〔歌人・文芸評論家〕

ゾンという何か得体のしれないものに遮られて外の世界を失った小さな町の人たちの話。
ゾンとは何なのかぼくには最後までわからなかったのですが、売店で買ったパンフレットによると監督の鈴木さんにもわからないそうで、答えを映画に依存してはいけないんだと思いました。
ストーリーには遊びみたいなところもありましたが、俳優の演技が自然でところどころのセリフにも関心したりしました。気になるシーンがいくつもあって、何回も見たという人の気持ちがよくわかります。
(友部正人HP日記より抜粋)

友部正人〔シンガーソングライター〕

特に印象に残ったのが「狩野晶」というキャラクターです。異様な光景のなかで住人はそれなりに楽しそうに生きていますが、彼女は常に不満げな表情を浮かべています。世界が取り返しのつかないほど壊れてしまっても、人間は順応して生活できてしまうことに対し、失望しているように感じました。ですから終盤で彼女が起こすアクション・辿り着く場所・そこで出会う人物に深く感動を覚えました。

内藤瑛亮〔映画監督〕

帰宅した妻「映画館を出て目にする東中野の電車にゾンゾンしちゃう」とビールを空け軽くステップを踏みながら語っています。
何のことやら分かりませんが、長年一緒にいるので「ゾンからのメッセージ」が相当面白かったことは伝わります。

永山正史〔脚本/監督〕

ゾンからのメッセージを誤読すれば、疾走する電車にも乗れまいし、たゆたう海を目にすることもできまい。監督の鈴木卓爾は、間違ってもそんな言葉を居丈高に口にしたりはしない。このどこかしら世話物的でありながらも大胆きわまりないSFは、できれば異性の友人を誘って電車に乗って映画館へと疾走し、二人してたゆたう海をスクリーンで見ることだけを要請している。

蓮實重彦〔映画評論家〕

(前略)この映画はある意味ブレて見える人々しか出てこなくて不安だか心地よい正しさのようなものを感じる。どこへ向かうのか例えば安全な避難所とか非常に楽しい世界。セイフヘイブンとパラダイス。
選択はしてもしなくてもいいんだとも言われているような気持ちになる。創造と憶測が渦巻く。 さて、どこに行けばもんもんとしたこれを改善できるのか、もんもんと生きていた日々はなんなのだろうか?どんな場所であれ変わってしまったとしても帰りたいと思う場所は揺らがないのだ。しかし、それはあまりにも切ない。あ、でも、それは人でもいいんだと気付いたときにはもう戻れないかもしれない地を思いだし、優しい涙を流してしまったのでした。

廣田朋菜〔俳優〕

切り取られる映像が、こちらに向かって開かれているような、瞬間の方が切り取られに来ているのではないかと感じました。

観終わった後、役者さんたちの声が、優しく残りました。

藤井治香〔演劇ユニットle 9 juin主宰〕

『ゾンからの~』は、フィクションとドキュメンタリーのせめぎ合いがすっと胸に落ちる映画でした。わかってしまった世界で表現することが描かれていた気がします。これから何度も思い出すだろう。真っ暗闇にならない火星の庭での上映でしたが、関係者の皆さまと観れて光栄でした。

前野久美子〔Book Cafe 火星の庭・店主〕

ゾンからのメッセージ、昨日思い立って観に行った。50回くらい「わかるわ」「わからへんわ」「そうだよなぁ」「そういえば、、、」とか思ってたら映画に巻き込まれていった。2014年から作り始めて2018年公開。2014年だからか。気づけばmyゾンになってた。

松尾渉平〔俳優〕

『青夏』の古澤健監督の映画『ゾンからのメッセージ』の試写にご招待いただいてきました!
んん、なんとも不思議な世界に迷い込んだ。
観終わっても消化しきれないこの感じ、久々。すごい良い気分。笑
8/11〜公開、青夏とのギャップを楽しめるチャンスですコレは!!

水石亜飛夢〔俳優〕

ブラッケージな空、ゾン!覗いたコーヒーカップの中にもサッカーゴールの隅っこにも赤ん坊のオムツの中にも目玉やきをつまむ箸と箸の間にもサザエさんの財布の中にもゾンがあればいいのに。そしたら世の中の映画はもっとゾンゾンしくて楽しくなりそう!

宮本杜朗〔映画監督〕

論理だけでではなく、感性で紡がれた映画だからこそ、心の中にドロっとした感覚で残り、徐々に人生に影響を与える。だからこの映画はとても優しいが、しかし怖ろしく、さすが妖怪監督タクジさん!と思った。観客もゾンワールドの住人と同じように境界の変容が体験できるぞ!

村上賢司〔映画監督・テレビディレクター〕

「面白い! シネカリグラフィーの空の下、小さな町でくりひろげられる小さな恋のメロディ」

柳下毅一郎〔翻訳家/映画評論家

だいたい、自分でへんてこって言っている作品は面白くないはずなのですが、今回ばかりは本当に真意をはかりかねるといいますか、まさにへんてこで、素晴らしいなと思っております。作品内でもレイヤーがすごく混迷していて(ドキュメンタリー/フィクション/SF/日常etc.)、しかも映画愛は『アメリカの夜』的な「映画作る系」の系譜も感じさせつつ、音楽は決して高らかに鳴り響かない。とにかく、素敵な異物でした。音響も繊細で怖くて、すごく良かったです。

山口一光〔立東舎〕

6回か7回目に見てようやく気づく。向こう側へいく契機は境界を通り抜けることそのものじゃなくて、誰かが境界を通り抜けるその場に居合わせること。より正確には、その場に居合わせることで、こちら側にいながらにして向こう側の意味が変わってしまうということ。

結城秀勇〔雑誌NOBODY編集部〕

万感。万感って、こんなに穏やかに打ち寄せるものなのか。境い目があるから、境い目がない、がある。それは映画そのもののようで、そのもの、が、緩くほどけていくみたいでもあった。とにかく、うれしくなったのだ。

龍健太〔俳優〕

観た人と語りたくなる豊かな映画。とりあえず今、見上げる夜空がゾンだったら、もう少し他人に寛容になれる気がします。わけの分からない超常現象を「ゾン」とそこに暮らす住人達が名付けたときに、それの扱い方、寄り添い方が生まれたように思う。人間が妖怪に名前を付ける感触がある。

青木佳文〔俳優〕

ゾンからのメッセージ見終わって外に出たら不穏な風がビュービュー吹いていていい日に見に来たなと思いました。地続きの様な、現実の様な世界を歩いて帰る余韻が心地良い。しかしあの空は癖になる。

礒部泰宏〔役者〕

これ程変な映画も滅多にないが、見終わった後には爽快感すら漂う。理解不能なことについての理解不能な映画になぜ快感が”存”するのか?それはこれが映画だからという事以外に答えを思いつかない。それが映画である限りにおいて快感が”存”するのだ。ここで想起されるのは「映画とは生きものの記録である」という土本典昭の言葉であり「シネマの大義の下で撮られたフィルムだけが全人類に関わる」という廣瀬純の言葉である。

本作は、まさに”生きものの記録”以外の何物でもなく、様々な商業的な欲望や自分をより良く見せたいという俳優の欲望、ありとあらゆる種類の欲望が欠落しており、そこには映画として”存”することの運動があるのみ。 本来、”シネマの大義”とは無縁であるはずの様々な欲望がこの映画にはないから、不快さがなく、気持ちのよい爽快感を生み出しているのだと思う。

上原輝樹〔映画批評 OUTSIDE IN TOKYO〕

作品の質感として、物理的な「ゾン」の表象(カリグラフィーの合成)が、とても腑に落ち納得できる。ハリウッド的CGとは、とても違った(表現の)道が、風通しの良い野の花が咲いているような道もあるんだよな…といううれしい気持ちを呼び覚ます。原初的な映像のよろこび。
合成も、美術も、一部の撮影も、宣伝も…そもそもキャラクターの核も(とりあえず俳優と呼ぶ)出演者がほぼ全てに関わる…脚本にも口を出し、編集にも関わること…本流と呼ばれている作り方以外の「映画」が存在していることが私には(色々な意味で)強い励ましになった。(他の何かを否定する意味ではなく)素朴に感じたのは大きなスクリーンに、いわゆるスターという人工的な人々が映る事がいかに不自然なのかということ。私たちの隣人と呼べる人たちの「生きてる!」という静かな美しさ。例えば道子さんの声…例えば晶さんの風に吹かれる髪!全編の深刻ぶらない真面目さ。自然に醸し出されるユーモア。放っておくとすぐ閉じ込めよう閉じ込めようとする物語には従わないこと。それらは(作品内では言及されることのない)東日本大震災と原発事故を生きてしまった=今も生きているわたしたちの「幸福」へのレッスンだ!

大久保英樹〔ディレクター〕

割烹着の女たち。遠い唱歌。映らないビデオテープ。そして農家のおじさん。SF映画に普通は要らないものが、ただただきらめいて、ここにある。愛おしい映画です。

岡田秀則〔映画研究者〕

境界は壊れども、混乱は極まれども、カメラを手に世界を映す試みをやめず、つぎはぎの世界の中で想いをつむぐ、これは映画だ、と思いました。個人的に「ポッポー町の人々」の続きを観られたような気がして感慨深いものが。「花の街」しばらく離れなさそう。ゾン・ボヤージュ!

小澤雄志〔役者〕

映画を作る人、という特別な人種はこの世に存在しない。普通の人が普通の人々との生活の中で着想し、普通の人々を集って映画は紡がれ、普通の人々が客席に座った時、やっと「特別」が生まれる。

スクリーンはどんなに大きくたって意外と薄くできている。『ゾンからのメッセージ』を観てそんな当たり前の事を再認識させられた。

川瀬陽太〔俳優〕

『ゾンからのメッセージ』観終わってからまだ色々引きずってる。こんなに引きずる映画は久しぶりかも。初期作品『にじ』から姿形は変われど、映画が大好きで、映画って何なんだと情熱を傾けるあの頃の鈴木卓爾青年が今もなお健在し、より進化し続けてる感じがした。それってホント凄い事だと思う。

木村知貴〔俳優〕

感想を言葉にするのはすごくもどかしいけど、「映画が見た夢」って感じ。完成された映画なのに目の前で生成されてるような、何が起きるかわからない不思議な映画。とても有機的な作品だった。フイルム、VHS、デジタル、そして劇場と撮影現場、全てがその瞬間にあった。すごい

後藤ユウミ〔俳優〕

あの日、ゾンのゾンは実存のゾンかと思ったりしつつ見ていつつ、今、宇宙の映画とはまさしくと思いつつまた見たいと思いつつあります。世界(宇宙)が広がりました。

佐藤文吾〔俳優〕

『ゾンからのメッセージ』面白かった!『インターステラー』に無かったものが全部あった!もちろん『インターステラー』にあったものが大幅に無いんだけど、同じくらい面白かった!

映画内の酒場「バー湯」に置いてある酒ビンラベル「存自慢」!本編は映画美学校の上映会でワークプリント版的なやつで観たきりなので公開したら行く。

samurai_kung_fu 〔映画評同人誌「Bootleg」発行人〕

『楽隊のうさぎ』(鈴木卓爾監督)でやっと自分にもわかった、映画の芝居が立ち上がる瞬間を捉え続ける演出が本作でも遺憾なく発揮されており俳優がとても魅力的で、それだけで楽しかったです。
こちら側の世界と異界というテーマをフィクションとメイキングを交えた手法で描かれているのだが、少しも頭でっかちな感じはしなくて、その試みも大変スリリングで興味深く、鈴木卓爾監督の魔術的とすら言いたい演出の秘密を垣間見た気がしました。

jun7704

『ゾンからのメッセージ』。ただ見ればいいんだと気づかせてくれる、しあわせな時間。とくに後半、どんどん、ただ見てる、聴いてる。今上映が来週で終わるという、その時間感覚がぜんぜん合わない。この映画に、終わるとかない。

杉田協士〔映画監督〕

不思議な映画、でした。事務所に帰る道すがら、なんども空を眺めてしまいました(笑)一晩経ちましたが、いまだにモヤモヤが晴れません。しかし、気持ちの良い、モヤモヤです。心のモヤモヤ、しばらく続きそうですが、楽しませていただきます!

関裕司〔日本シナリオ作家協会事務局〕

この映画を見た者は「ゾン」という言葉が頭から離れなくなる。「ゾン」とは何だろうか?タルコフスキーの『ストーカー』に登場する「ゾーン」がただ単に詰まったものだろうか?いや、それにしては「ゾン」は「存在」と語感が似すぎてやしないだろうか?それにドイツ語では「存在」は「Sein(ザイン)」と言うらしい。ちょっと似ている。ひょっとしたら「ゾン」は「存在そのもの」なのか?もっと言えば「存在」を「存在」たらしめている何かを言い表すために忽然と登場した言葉なんじゃないだろうか?そこまで考えた時に、自分が何でこの映画に感動したか判った気がした。『ストーカー』は「ゾーン」が不可視だったからこそ「空間」を描く映画だった。
そして『ゾン』は映画のほぼ大半で「ゾン」が空を覆い、写り込んでいるからこそ、「存在そのもの」を描く映画になった。ということは、この映画の真のタイトルは『存在そのものからのメッセージ』なのだ。あまりにもヤバくないだろうか。宇宙や異次元からメッセージが来るよりもはるかに。ここでゾクッと来た人はただちに劇場に行って、目撃した方がいい。『惑星ソラリス』は「存在」を「存在」たらしめるものを「海」として可視化した映画だった。だが『ゾン』は抽象度のヤバさにおいて、さらにその先へと踏み込んでしまった映画なのである。

高橋洋〔映画監督〕

登場人物たちが営む日常生活の丁寧でリアルな描写や、妙に味のある台詞回しにいつのまにか引き込まれて、奇抜な設定や合成の画像がまったく気にならなくなる。自主製作ならではの自由さと手作り感もすごくいい。鑑賞後もずっと余韻が残りつづける、本当に新鮮で面白い作品でした(とくに最後の15分は戦慄)。

竹峰義和〔ドイツ思想史研究者〕

鈴木卓爾監督『ゾンからのメッセージ』。一切の注釈なく、世界の果てを眼前に屹立させた上で映画は始まる。宇宙の果てに自室の本棚を発見した『インターステラー』の長い旅路を丸々裏返すような道筋で、私たちはすでに長い時間を過ごしたはずのBar 湯に、初めて訪れた場所のような気分で辿り着く。

田中竜輔〔雑誌NOBODY編集部〕

よくわかんないけど芝居してるときの役者の感覚を映画として観た感じ。役として相手と向き合いながら、演出の言葉に耳を傾け、大勢に見られながらプライベートを続ける。気付くと私なのか役なのかわからなくなる世界。

土山茜〔女優〕

深谷の空がブラッケージになるという鈴木卓爾監督からの予告がマジだった…その結果、映画は宇宙を宿し、人々は潜在的なメタモルフォーゼの可能性を蠢かせる。様々な質感・リアリティの映像が多次元表現につながる、その不気味なまでの怪しさ。今ここがいったいどこにあるのか、という映画だった。自分が『個人的なハーモニー』という本で書いたのもつまりこういうことだったのではないか。

シネカリやドローイングアニメーションが怪しく合成されるこの映画はアニメーションについて考える人々も必見です。

土居伸彰〔アニメーション研究/評論〕

終始終末感の漂う、メタ的な場面が意表をつく異色SF群像劇。それぞれの記号とエピソードをいちいち解読しようとするより、感覚的に受け入れた方がその歪んだ日常に引き込まれる。

ドン・ブラウン〔映画翻訳家〕

試写で見ました。私は前に2回の別バージョンを見ていたのを思い出したけど毎回泣いてしまうのが数々の道子さん。道子さんの発見が私には大きな喜びのひとつで、豊かで淋しい音の世界にあっていい台詞がいいときに聞こえるんだもの。call of zonっていい英題。万華鏡のぞくみたいな体験なのかな。ぐるぐる、ざざざざしてる。call of zonが体の内側で、ざざざざ、波のようです。網膜から侵入したイメージが個体のイメージを通過して私の心象風景に変わる体験をなんといったらいいか、見たことないはずのシネカリは一見アバンギャルドの代名詞っぽいのに懐かしい心象風景に混じるのが心地よいです。

中川ゆかり〔俳優〕

『ゾンからのメッセージ』は春の柔らかな光が映画を包んでいて、見ていると心が暖かくなりました。登場人物ひとりひとりが、画面に写る全てのものが愛しくなる映画です。

永山由里恵〔俳優/青年団〕

『ゾンからのメッセージ』を見た後はきっと皆空を見上げただろう。この世界にも目視できないけど境界があるのかもしれないと思って。映画ではそこにある境界との距離の取り方にそれぞれの人間が表れていた。元々あったものとして受け入れるか、超えるものとして意識するか、危険として遠ざけるか…。

羽田野直子〔脚本家〕

私は田舎生まれで、田舎で過ごす時間が退屈で、今もその田舎の実家に住む両親を「こんなところによく何十年も住めるなー」なんて思っていた。刺激的な毎日を求めることこそ、変化を求め続けていくからこそ人生が豊かになるんだ、という勝手な思い込み。でも、この映画ではそのどちらも否定しない。全部肯定してくれているように思えました。進んでもいい、留まってもいい、戻ってきてもいい、帰ってこなくてもいい。VHSに巻いたプチプチみたいな、柔らかくて優しい寄り添い方に涙が出ました。

深澤しほ〔俳優〕

自分的に「映画ってこうであってほしい」と感じるそのものでした。受け取り手によって広がりがあるエンターテインメント力満載。なんか毎日悩んでる事なんかちっさく感じてしまうスケールのあるワクワク。凝り固まった思考回路の流れが良くなります。道子役の律子さんがとっても魅力的。

堀たえこ〔ヘアメイク〕

『ゾンからのメッセージ』は言葉人間で映画文法が身にしみてない私には難しかったんですが「どういうこと?」と立ち止まった箇所はちょっぴり『カメラを止めるな!』だったのかもしれない。鑑賞後に連想した短歌は以下のとおり。

 

海からの風みたいだなごうごうと通過電車に吹かれてみんな

(早坂類)

枡野浩一〔歌人〕

『ゾン』を抱えて隔離された街の話。お年寄りのインタビューなどが震災とシンクロして、どんどん現実とSFが肉薄していくところに引き込まれました。

美貴ヲ〔劇作家〕

非常に愛らしく優しい映画だった。タルコフスキーに高橋洋をかけて出て来たのはこの邪悪な天国であって、赤い電車のかすかな揺れや傷だらけの空を流れゆく雲やあなたの隣の誰かに射し込む真冬の陽光のようなかけがえのない一瞬一瞬であったというのは、どこか遠い希望を感じさせはしないだろうか。

宮崎大祐〔映画監督〕

自分の中にスッと浸透していくような作品だった…。

考えなくて良いやん…そこに人がいて言葉を発して追い求めるものがある。それだけで作品って素敵な気がする。

村井崇記〔役者〕

お茶碗でもりもりご飯食べたくなったり、サイダーをごくごく飲みたくなったり、ぎゅうぎゅう詰めの川の字の真ん中で寝たくなったり……些細な生活欲求が刺激されたのはきっと、映像が素敵なのもさることながら、音のレイヤーが心地良かったからだなぁ。

餅山田モチ世〔コマ撮りアニメーション/水引細工〕

とても自由で豊かだった。自分もすごい映画撮りたくなったり、途中自分だったらどんな映画撮るかなと考えたり、豪雪あったっけと過去に想いをはせ、また映画に引き戻されたり、ラストはやはり感動した。

矢野昌幸〔フリーター〕

物凄く豊かで素晴らしい映画やった。ほんまに面白かった。

全く頭ん中まとまらへんけど(笑)これほど人に寄って感じ方変わる映画も珍しい攻めてます。

山元駿〔役者〕

本当に、めちゃくちゃに素敵な作品でした!ファンシーでかわいくて、物寂しくてちょっぴり怖くて、でもじんわりずしーんです。この映画の写真集が欲しい。

雪深山福子〔声優/俳優〕

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